グリストラップとグリーストラップの違いとは?正しい名称と意味を解説

グリストラップとグリーストラップの違いと正しい名称を解説する図解

「グリストラップ」と「グリーストラップ」は、別の設備なのでしょうか。

飲食店の厨房では「グリストラップ」と呼ばれることが多い一方、自治体や設備業者の資料では「グリーストラップ」や「グリース阻集器」という名称も使われています。

結論からいうと、グリストラップとグリーストラップは、基本的に同じ設備を指す呼び方です。

どちらも、厨房排水に含まれる油脂や食品残渣を分離し、排水管や公共下水道へ流れ込む量を抑える役割があります。

ただし、店舗内での日常的な呼び方と、行政資料や設備図面で使われる名称には違いがあります。

この記事では、グリストラップとグリーストラップの違い、正式名称、英語表記、設備としての意味、似ている設備との違いを分かりやすく解説します。

グリストラップとグリーストラップの違い

グリストラップとグリーストラップに、設備としての明確な違いはありません。

どちらも、飲食店や食品を扱う施設の厨房排水から、油脂や食品残渣を分離・回収するための設備です。

呼び方が異なる主な理由は、英語の「grease trap」を日本語のカタカナで表記するときの違いです。

名称主に使われる場面意味
グリストラップ飲食店、清掃現場、一般的な会話厨房排水から油脂などを分離する設備
グリーストラップ設備業者、メーカー、自治体の案内グリストラップと基本的に同じ設備
グリース阻集器行政資料、設計図、申請書、設備基準油脂を阻止・分離・収集する設備名称

店舗内で「グリストラップ」と呼んでも、通常は問題なく意味が通じます。

一方、自治体への問い合わせや設備工事の打ち合わせでは、「グリース阻集器」と伝えると、対象となる設備を正確に理解してもらいやすくなります。

正式名称はグリース阻集器

行政や建築設備の分野では、「グリース阻集器」という名称が使われます。

阻集器とは、排水に含まれる油脂や固形物などを阻止し、分離して集めるための設備です。

厨房排水に含まれる動植物性油脂を対象とするものが、グリース阻集器です。

次のような書類や場面では、「グリース阻集器」と表記されることがあります。

  • 建築設備の設計図
  • 排水設備の申請書
  • 設備工事の見積書
  • 自治体の設置基準
  • 建物管理会社の設備台帳
  • メーカーの仕様書
  • 専門業者との契約書

ただし、「グリストラップ」が誤った名称というわけではありません。

飲食店や清掃現場で広く定着している通称であり、日常的な会話や店舗マニュアルでは、そのまま使用しても問題ありません。

英語ではgrease trapと表記する

グリストラップとグリーストラップのもとになっている英語は「grease trap」です。

英単語主な意味
grease油脂、脂、グリース
trap捕らえるもの、受け止める装置

直訳すると、油脂を捕らえる装置という意味になります。

英語の「grease」をカタカナで表す場合は、「グリース」が原語に近い表記です。

しかし、日本の飲食店や清掃現場では、発音しやすく短い「グリス」という表現も広く使われてきました。

そのため、現在は次の3つの名称が併用されています。

  • グリストラップ
  • グリーストラップ
  • グリース阻集器

名称は異なりますが、厨房排水から油脂や食品残渣を分離するという役割は同じです。

グリストラップという呼び方が広まった理由

飲食店の厨房では、設備の正式名称よりも、短く呼びやすい言葉が使われる傾向があります。

「グリース阻集器を清掃する」よりも、「グリストラップを掃除する」のほうが短く、スタッフ同士の会話でも伝えやすいためです。

店舗内では、次のような表現が一般的に使われています。

  • グリストラップを掃除する
  • グリストラップの油を取る
  • グリストラップから臭いがする
  • グリストラップのごみを捨てる
  • グリストラップが詰まった

インターネット検索でも「グリストラップ」という表記が広く使われているため、飲食店向けの記事や清掃サービスでは一般的な名称として定着しています。

呼び方が違っても構造や役割は同じ

グリストラップ、グリーストラップ、グリース阻集器という名称の違いによって、設備の基本構造や役割が変わるわけではありません。

一般的なグリース阻集器は、次のような部品で構成されています。

  • 流入口
  • バスケット
  • 複数の槽
  • 仕切り板
  • トラップ管
  • 流出口
  • ふた

厨房から流れてきた排水は、バスケットと複数の槽を通りながら、食品残渣、油脂、汚泥に分けられます。

水より軽い油脂は水面へ浮き、重い食品残渣や汚泥は槽の底へ沈みます。

比較的油脂の少ない水が、トラップ管などを通って排水管へ流れる仕組みです。

場所主にたまるもの必要な管理
バスケット米粒、麺、野菜くずなど食品残渣を取り除く
水面浮上した油脂網やひしゃくで回収する
槽の底細かな食品残渣、汚泥定期的に回収する
壁面・仕切り板付着した油脂、ぬめりブラシや洗浄剤で清掃する

どの名称を使う場合でも、定期的な点検と清掃が必要です。

グリース阻集器の「阻集」とは

「阻集」とは、排水に含まれる不要な物質を阻止し、分離して集めることを意味します。

グリース阻集器は、油脂を自動的に分解して消す設備ではありません。

排水に含まれる油脂や食品残渣を、次のように分離して槽内にとどめます。

  1. バスケットで大きな食品残渣を受け止める
  2. 仕切り板によって排水の流れを緩やかにする
  3. 水より軽い油脂を水面へ浮かせる
  4. 重い残渣や汚泥を槽の底へ沈める
  5. 比較的油脂の少ない水を排出する

設備内にたまった油脂や汚泥は、自然にはなくなりません。

清掃をせずに放置すると、槽内に汚れが蓄積し、油脂を分離するための有効容量が小さくなります。

その結果、油脂が排水管や公共下水道へ流れやすくなるため、定期的な回収が必要です。

グリストラップと排水トラップの違い

グリストラップには「トラップ」という言葉が含まれていますが、シンクや床排水口に設置される排水トラップとは役割が異なります。

設備主な目的主な設置場所
グリース阻集器排水から油脂や食品残渣を分離する飲食店などの厨房排水経路
排水トラップ排水管からの臭いや害虫の侵入を防ぐシンク、床排水口、洗面台など

排水トラップは、管の一部に水をためることで、排水管内の臭いや空気が室内へ上がるのを防ぐ設備です。

一方、グリース阻集器の主な目的は、厨房排水に含まれる油脂や食品残渣を分離することです。

グリース阻集器の内部にもトラップ管が設置されることがありますが、設備全体の目的は排水トラップとは異なります。

グリストラップと油水分離槽の違い

グリース阻集器と似た設備に、油水分離槽やオイル阻集器があります。

いずれも油と水を分ける設備ですが、対象となる油や設置場所が異なります。

設備主な対象主な設置場所
グリース阻集器動植物性の食用油脂、食品残渣飲食店、ホテル、給食施設などの厨房
オイル阻集器・油水分離槽機械油、燃料油などの鉱物油工場、自動車整備工場、給油施設など

厨房から排出される動植物性油脂を対象とする設備は、一般的にグリース阻集器です。

自動車整備工場などから出る鉱物油を対象とする場合は、オイル阻集器など別の設備が使用されます。

対象となる排水に合わない設備では、十分な分離機能を発揮できない可能性があるため注意が必要です。

グリストラップと浄化槽の違い

グリース阻集器と浄化槽も、排水に関係する設備ですが、役割は大きく異なります。

設備主な役割
グリース阻集器厨房排水から油脂や食品残渣を物理的に分離する
浄化槽生活排水を処理し、水質を改善して放流する

グリース阻集器は、油脂や固形物を分離する前処理設備です。

浄化槽が設置されている店舗でも、厨房から多くの油脂が排出される場合は、グリース阻集器による前処理が重要です。

名称を使い分けたほうがよい場面

日常的にはグリストラップと呼んでも問題ありませんが、場面によって名称を使い分けると、伝達ミスを防ぎやすくなります。

店舗内ではグリストラップが分かりやすい

厨房スタッフへの清掃指示や日常点検表では、「グリストラップ」という名称が伝わりやすいでしょう。

例えば、次のように記載できます。

  • グリストラップのバスケット清掃
  • グリストラップの浮上油脂回収
  • グリストラップ清掃チェック表
  • グリストラップの悪臭確認

行政や設備業者にはグリース阻集器が正確

自治体、建築士、設備会社、排水設備業者へ問い合わせる場合は、「グリース阻集器」と伝えると正確です。

特に、次の内容を確認する際は正式名称を使用するとよいでしょう。

  • 新規出店時の設置
  • 必要容量の選定
  • 排水設備の申請
  • 本体の交換や増設
  • 排水管工事
  • 自治体の設置基準
  • 設備の破損や漏水

検索では両方の表記を使用する

インターネットで情報を探す場合は、「グリストラップ」と「グリーストラップ」の両方を試すと、必要な情報を見つけやすくなります。

  • グリストラップ 清掃方法
  • グリーストラップ 構造
  • グリース阻集器 設置基準
  • グリストラップ 悪臭
  • グリース阻集器 容量

店舗マニュアルではどの名称を使うべきか

店舗内の清掃マニュアルでは、スタッフが普段使っている名称に統一するのが実用的です。

すでに「グリストラップ」という呼び方が定着している場合は、無理に「グリース阻集器」へ変更する必要はありません。

ただし、最初に正式名称を併記しておくと、行政資料や設備業者の書類と照らし合わせやすくなります。

例えば、次のように記載できます。

グリストラップ(正式名称:グリース阻集器)は、厨房排水に含まれる油脂や食品残渣を分離する設備です。

以降の文章を「グリストラップ」に統一すれば、スタッフにも読みやすいマニュアルになります。

設置するだけでは油脂を防げない

グリース阻集器は、設置すれば自動的に油脂を処理し続ける設備ではありません。

槽内にたまった食品残渣、浮上油脂、底部の汚泥を定期的に回収することで、本来の機能を維持できます。

清掃せずに放置すると、次のような状態になります。

  1. バスケットに食品残渣がたまる
  2. 水面の油脂層が厚くなる
  3. 槽の底に汚泥が堆積する
  4. 排水をためる空間が小さくなる
  5. 油脂を分離する時間が短くなる
  6. 排水管へ油脂が流れやすくなる

設備の名称がグリストラップでもグリース阻集器でも、定期的な清掃が必要であることに変わりはありません。

清掃頻度の一般的な目安

清掃頻度は、店舗の業態、油の使用量、客数、営業時間、設備容量などによって異なります。

確認場所頻度の目安主な作業
バスケット毎日食品残渣を回収する
水面の油脂週1回程度浮上した油脂をすくい取る
槽の底月1回程度沈殿した汚泥を回収する
仕切り板・壁面汚れに応じて付着した油脂やぬめりを落とす
流入口・流出口定期的に詰まりや部品の状態を確認する

ラーメン店、中華料理店、焼肉店、揚げ物を多く扱う店舗では、油脂がたまりやすいため、実際の汚れに合わせて確認頻度を増やしましょう。

よくある表記の違い

グリストラップには似た表記が多く、資料によって書き方が異なることがあります。

表記考え方
グリストラップ飲食店などで広く使われる通称
グリーストラップ英語の発音に近いカタカナ表記
グリース阻集器行政や設備分野で使われる名称
グリストラップ槽設備本体や槽を指す通称
グリーストラップ槽同じく設備本体を指す通称
グリース阻止器「阻集器」と混同した表記

設備名称としては「阻止器」ではなく、「阻集器」という表記が使われます。

同じマニュアルや清掃表の中で複数の表記を混在させると、別の設備のように見えることがあります。

店舗内の資料では、最初に正式名称を説明したうえで、「グリストラップ」に統一すると分かりやすいでしょう。

名称に関するよくある質問

グリストラップは間違った呼び方ですか?

間違いではありません。

飲食店や清掃現場で広く使われている一般的な呼び方です。

行政資料や設備図面では「グリース阻集器」と表記されることが多いため、場面に応じて使い分けましょう。

グリーストラップとグリース阻集器は同じですか?

基本的に同じ設備を指します。

「グリーストラップ」は英語をカタカナで表した呼び方で、「グリース阻集器」は設備分野で使われる日本語名称です。

グリストラップは油を分解しますか?

基本的には、油を分解する設備ではありません。

水と油脂の比重差を利用して油脂を水面へ浮かせ、設備内にとどめます。

たまった油脂や汚泥は、定期的に回収する必要があります。

グリストラップとグレーチングは同じですか?

異なるものです。

グレーチングは、排水溝や側溝などに設置される格子状のふたです。

グリストラップは、厨房排水から油脂や食品残渣を分離する設備です。

店舗の清掃表ではどの名称を使えばよいですか?

スタッフが最も理解しやすい名称を使いましょう。

「グリストラップ」という呼び方が定着している場合は、清掃表やマニュアルでも「グリストラップ」に統一すると分かりやすくなります。

付着した油脂汚れを清掃する方法

グリストラップは名称にかかわらず、食品残渣、浮上油脂、底部の汚泥を定期的に回収する必要があります。

これらを回収したあと、槽の壁面や仕切り板に残った油脂汚れには、ブラシや用途に合った業務用洗浄剤を使用する方法があります。

「グリスとれ~る」は、アルカリによる石鹸水化作用を利用し、グリストラップに付着した油脂汚れの除去をサポートする業務用洗浄剤です。

食品残渣、浮上油脂、底部の汚泥を回収したうえで、槽内や部品に付着した油脂汚れを清掃する際の選択肢として使用できます。

商品情報や使用方法は、以下の公式販売ページで確認できます。

まとめ

グリストラップとグリーストラップは、基本的に同じ設備を指す名称です。

どちらも、厨房排水に含まれる油脂や食品残渣を分離し、排水管や公共下水道へ流れ込む量を抑える役割があります。

名称の使い分けを整理すると、次のとおりです。

  • グリストラップ:飲食店や清掃現場で広く使われる通称
  • グリーストラップ:英語の発音に近いカタカナ表記
  • グリース阻集器:行政、設計、設備工事で使われる名称

店舗内では分かりやすい「グリストラップ」を使い、自治体や設備業者へ問い合わせる際は「グリース阻集器」と伝えると、対象設備を正確に理解してもらいやすくなります。

また、グリース阻集器は油脂を自動的に消す設備ではありません。

バスケットの食品残渣、水面の油脂、底部の汚泥を定期的に回収し、壁面や仕切り板も清掃することで、本来の機能を維持できます。

参考・引用元