グリストラップのサイズはどう選ぶ?店舗規模別の確認ポイント

グリストラップのサイズを店舗規模・席数・シンク数・使用水量で選ぶポイントを解説する図解

グリストラップを新設・交換するとき、「どのサイズを選べばよいのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。

製品カタログを見ると、幅・奥行き・高さ、実容量、許容流入流量など、さまざまな数字が記載されています。

しかし、厨房の空きスペースに収まる製品を選べばよいわけではありません。

グリストラップのサイズが店舗の排水量に対して小さすぎると、油脂を十分に分離できず、排水管へ流出する可能性があります。

一方で、必要以上に大きな製品を選ぶと、設置工事や清掃に必要なスペースが増え、厨房の使い勝手に影響することがあります。

この記事では、グリストラップのサイズを選ぶ際に確認したい性能、店舗面積や利用人数との関係、設置スペースの測り方、サイズ不足のサインを分かりやすく解説します。

グリストラップの「サイズ」が表すもの

グリストラップのサイズという言葉には、主に次の3つの意味があります。

  • 本体の外形寸法
  • 槽内に排水をためられる容量
  • 厨房排水を処理できる性能

設置場所へ収まるか確認するだけなら、幅・奥行き・高さなどの外形寸法を見ます。

しかし、店舗の排水を適切に処理できるか判断するには、実容量、許容流入流量、標準阻集グリース量なども確認しなければなりません。

確認項目主な意味
幅・奥行き・高さ設置場所へ本体が収まるかを確認する寸法
実容量槽内で実際に排水をためられる量
許容流入流量1分間に受け入れられる排水量の目安
標準阻集グリース量設備内に保持できる油脂量を示す性能値
たい積残さ量設備内に保持できる食品残渣や汚泥の量
流入口・流出口径接続する排水管の口径

外形寸法が大きい製品でも、内部構造によって実容量や処理性能は異なります。

サイズと容量の違い

グリストラップの「サイズ」と「容量」は、同じ意味で使われることがありますが、厳密には異なります。

サイズは本体の幅・奥行き・高さなどを含む大きさを指し、容量は槽内にためられる排水量を示します。

例えば、同じ幅と奥行きの製品でも、槽の深さや内部構造が異なれば容量は変わります。

また、同じ容量の製品でも、仕切り板や流入口・流出口の構造によって許容流入流量が異なる場合があります。

機種を選ぶときは、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

  1. 店舗に必要な処理性能を算定する
  2. 必要性能を満たす製品を探す
  3. 製品の外形寸法が設置場所へ収まるか確認する
  4. 清掃や点検に必要な作業スペースを確認する

グリストラップのサイズを決める主な条件

必要なサイズは、店舗面積だけでは決まりません。

主に次の条件を確認します。

  • 店舗の業態
  • 店舗全面積
  • 利用人数
  • 1日あたりの食数
  • 営業時間と回転数
  • 厨房の使用水量
  • 使用する油脂の量
  • シンクや食器洗浄機の数
  • 一度に流れる最大排水量
  • 清掃周期

店舗の業態

同じ店舗面積でも、料理の内容によって排出される油脂や食品残渣の量は異なります。

一般的に、次のような業態では油脂を含む排水が多くなりやすいため、サイズ選定に注意が必要です。

  • ラーメン店
  • 中華料理店
  • 焼肉店
  • 天ぷら店
  • とんかつ店
  • 揚げ物を多く提供する居酒屋
  • 大量調理を行う給食施設

小さな店舗であっても、油脂の多い料理を提供する場合は、小型グリストラップでは性能が不足する可能性があります。

店舗全面積

一般の飲食店では、業態と店舗全面積を基に必要性能を算定する方法があります。

ここでいう店舗全面積は、客席部分だけではなく、厨房や付帯部分を含めた面積を使用する場合があります。

どの範囲を面積に含めるかは、使用する算定基準やメーカーの選定表に従ってください。

利用人数

社員食堂、病院、学校、ホテル、給食施設などでは、利用人数を基にサイズを選ぶ方法があります。

利用人数が多くなるほど、調理量、食器数、使用水量、油脂や残さの量も増える傾向があります。

1回の最大利用人数だけでなく、1日に何回食事を提供するかも確認しましょう。

1日あたりの食数

1日に提供する食事の数は、厨房から発生する排水や油脂量を判断する重要な条件です。

同じ客席数でも、回転数が高い店舗や、朝・昼・夜の3回営業する施設では、1日の総排水量が多くなります。

厨房機器と使用水量

次のような厨房機器を使用する場合は、短時間に大量の排水が流れることがあります。

  • 大型の食器洗浄機
  • 複数のシンク
  • ゆで麺機
  • 回転釜
  • 大型炊飯設備
  • 連続式の洗浄設備

1日の総使用水量だけでなく、1分間にどの程度の排水が流れるかを確認することが重要です。

主な機種選定方法

厨房用グリストラップの選定では、主に次の2つの方法があります。

  • 利用人数に基づく選定方法
  • 店舗全面積に基づく選定方法

利用人数に基づく選定

施設の利用人数や食事の提供回数が分かる場合は、利用人数を基に必要な流入流量、油脂量、残さ量を算定します。

社員食堂、学校、病院、ホテル、給食施設などで利用しやすい方法です。

店舗全面積に基づく選定

一般的な飲食店では、業種と店舗全面積を基に選定する方法があります。

業種ごとに排水量や油脂の発生量が異なるため、同じ面積でも必要性能が変わる場合があります。

算出した流入流量と、阻集する油脂・残さの量の両方を上回る性能を持つ製品を選びます。

店舗規模別に確認したいポイント

グリストラップのサイズは、店舗規模だけで決めることはできませんが、確認すべきポイントを整理する目安にはなります。

店舗規模主な設置候補特に確認したいこと
小規模店舗床置き型、シンク下型、小型埋設型瞬間排水量、油脂量、清掃頻度
中規模店舗厨房床下の埋設型業態、店舗面積、食数、複数機器の同時排水
大型店舗・施設大型埋設型、屋外型、共用型利用人数、大量調理、吸引清掃、搬出経路

小規模店舗

カフェ、テイクアウト店、軽食店などでは、小型の床置き型やシンク下型が候補になる場合があります。

ただし、設置場所へ収まるという理由だけで選んではいけません。

小型製品では、油脂や食品残渣が短期間でたまり、清掃回数が増える可能性があります。

また、シンクにためた水を一度に抜くと、許容流入流量を超える場合があります。

中規模店舗

一般的なレストラン、居酒屋、ラーメン店などでは、厨房床下へ埋設するタイプが使われることがあります。

店舗面積、食数、油脂量、シンクや洗浄機の排水量を確認し、必要性能を算定します。

ラーメン店や中華料理店などでは、店舗面積が小さくても油脂量が多いため注意が必要です。

大型店舗や大量調理施設

ホテル、病院、学校、給食センター、食品工場などでは、大型の屋内型または屋外型が使用される場合があります。

利用人数や食数だけでなく、清掃方法も重要です。

槽が深い場合は、店舗スタッフによる手作業ではなく、専門業者による吸引清掃を前提に設置場所や搬出経路を検討します。

床置き型を選ぶ際の注意点

床置き型やシンク下型は、床を掘削せずに設置しやすい点がメリットです。

一方、処理量の少ない厨房向けの製品も多いため、サイズ選定には注意が必要です。

床置き型を検討するときは、次の項目を確認しましょう。

  • 実容量
  • 許容流入流量
  • 流入口と流出口の高さ
  • 接続する配管の口径
  • シンク下へ収まるか
  • ふたを完全に開けられるか
  • バスケットを上へ取り出せるか
  • 清掃用の容器を置けるか
  • 漏水時に確認できるか

本体がシンク下へ入っても、ふたやバスケットを取り出す高さがなければ、日常清掃ができません。

埋設型を選ぶ際の注意点

厨房床下へ埋設する場合は、本体寸法だけでなく、床下の深さや配管条件を確認します。

  • 本体を設置できる深さがあるか
  • 流入管と流出管の勾配を確保できるか
  • 床の防水層へ影響しないか
  • ふたを床面と同じ高さに施工できるか
  • ふたの上を人や台車が通るか
  • 本体周囲の補強が必要か
  • 清掃用の作業スペースがあるか

上階のテナントや床下が浅い物件では、希望するサイズを埋設できない場合があります。

物件契約や厨房機器の配置を決める前に、設備業者へ現地調査を依頼することが大切です。

屋外型を選ぶ際の注意点

屋外へ設置する場合は、大容量の製品を選びやすい一方、厨房から本体までの配管距離が長くなる場合があります。

配管内で油脂が冷えて固まるのを防ぐため、可能な限り油脂の発生場所に近い位置へ設置します。

屋外型では、次の項目も確認してください。

  • 厨房から本体までの距離
  • 排水管の勾配と曲がり
  • 雨水や土砂の流入対策
  • 地下水や土圧への対応
  • ふたの耐荷重
  • 車両が通行するか
  • 吸引清掃車が近づけるか
  • 回収物を衛生的に搬出できるか

外形寸法を測るときのポイント

交換用のグリストラップを選ぶ場合は、既存設備の外形寸法だけを測って判断しないでください。

少なくとも次の部分を確認します。

測定・確認部分確認する理由
本体の幅設置スペースへ収まるか確認する
本体の奥行き厨房動線や床開口へ収まるか確認する
本体の高さ床下やシンク下へ設置できるか確認する
流入口の高さ既存排水管を接続できるか確認する
流出口の高さ排水勾配を確保できるか確認する
ふたの開閉寸法清掃時に完全に開けられるか確認する
上部の空間バスケットや仕切り板を取り出せるか確認する

同じ外形寸法でも、配管位置が異なればそのまま交換できないことがあります。

清掃スペースもサイズ選びに含める

グリストラップは、設置後も繰り返し清掃する設備です。

本体が収まるだけでは、適切な設置とはいえません。

次の作業を安全に行えるスペースが必要です。

  • ふたを持ち上げる
  • バスケットを取り出す
  • 仕切り板を外す
  • 水面の油脂を回収する
  • 底部の汚泥を取り除く
  • ブラシで壁面を清掃する
  • 回収容器や清掃用具を置く

グリストラップの上に冷蔵庫、作業台、棚、食材などを置くと、清掃や点検ができなくなります。

設備上部には、移動が困難な物を置かないようにしましょう。

小さすぎるグリストラップで起こる問題

油脂の分離時間が不足する

排水量に対してサイズが小さいと、排水が短時間で流入口から流出口へ通過します。

油脂が水面へ浮く前に下流へ流れ、排水管へ付着する可能性があります。

油脂や汚泥がすぐにたまる

油脂や残さを保持できる量が少ないと、短期間で設備内がいっぱいになります。

清掃頻度が増え、店舗スタッフの負担も大きくなります。

第3槽まで油脂が流れる

正常な状態では、第3槽は第1槽や第2槽より油脂が少なくなります。

清掃直後でも第3槽へ大量の油脂が流れる場合は、流入量やサイズが適切か確認しましょう。

水位が急激に上がる

シンクの水を抜いたときにグリストラップの水位が急上昇する場合は、許容流入流量を超えている可能性があります。

ただし、バスケットや下流配管の詰まりでも同じ症状が起こります。

大きすぎるグリストラップの注意点

性能不足を避けるために大きな製品を選びたくなりますが、必要以上のサイズにはデメリットもあります。

  • 設置工事の範囲が広くなる
  • 本体価格や施工費が高くなる場合がある
  • ふたが大きく重くなる
  • 清掃する範囲が広くなる
  • 厨房スペースを圧迫する
  • 回収物の搬出作業が大きくなる

必要な性能を満たし、無理なく清掃できるサイズを選ぶことが重要です。

居抜き物件では既存サイズを再確認する

居抜き物件にグリストラップが設置されていても、新しい店舗でそのまま使えるとは限りません。

前の店舗と新しい店舗で、業態、食数、油脂量、使用水量が異なるためです。

例えば、カフェの跡地でラーメン店や中華料理店を始める場合、既存設備では性能が不足する可能性があります。

居抜き物件では、次の情報を確認してください。

  • メーカー名
  • 型式
  • 外形寸法
  • 実容量
  • 許容流入流量
  • 標準阻集グリース量
  • 前店舗の業態
  • 排水管の詰まり履歴
  • 本体や部品の破損

業態変更や厨房機器の追加時も見直す

開業時に適切なサイズだった場合でも、店舗の条件が変われば性能不足になることがあります。

次のような変更を行ったときは再確認しましょう。

  • 客席数を増やした
  • 営業時間を延長した
  • ランチ営業を開始した
  • 揚げ物やラーメンの提供を始めた
  • 大型食器洗浄機を追加した
  • シンクを増設した
  • 厨房を複数店舗で共同使用するようになった

現在のサイズを確認する方法

銘板や製品ラベルを確認する

本体やふたの周辺に、メーカー名、型式、容量などを記載した銘板が付いている場合があります。

型式が分かれば、メーカーの製品ページやカタログから寸法と性能を確認できます。

設備図面や納入図を確認する

給排水設備図、厨房設備図、竣工図、製品納入図などに、次の情報が記載されている場合があります。

  • 本体寸法
  • メーカー名と型式
  • 実容量
  • 配管口径
  • 流入口と流出口の位置

外寸だけで自己判断しない

本体の幅・奥行き・深さを測っても、内部構造や実際の処理性能までは正確に分かりません。

銘板や図面がない場合は、設備業者へ確認を依頼しましょう。

サイズ不足が疑われるサイン

次の状態が繰り返し見られる場合は、清掃不足だけでなく、サイズや性能が不足している可能性があります。

  • 清掃直後でも第3槽へ油脂が流れる
  • 短期間で油脂が大量にたまる
  • シンクの水を抜くと水位が急上昇する
  • グリストラップから排水があふれる
  • 下流の排水管が繰り返し詰まる
  • 厨房機器を追加してから排水が遅くなった
  • 業態変更後から悪臭や逆流が増えた

仕切り板やトラップ管の外れ、バスケットの目詰まり、排水管の閉塞でも似た症状が起こります。

サイズ不足と決めつけず、設備全体を点検してください。

サイズにかかわらず清掃が必要

適切なサイズのグリストラップを設置しても、清掃しなければ本来の性能を維持できません。

水面の油脂や底部の汚泥が増えると、排水をためるための有効な空間が小さくなります。

清掃場所一般的な頻度の目安主な作業
バスケット毎日食品残渣を回収する
水面の油脂週1回程度
多い場合は毎日
浮上した油脂を回収する
底部の汚泥月1回程度沈殿した汚泥を取り除く
仕切り板・壁面汚れに応じて付着した油脂やぬめりを落とす

大きな設備だから清掃を減らしてよいと考えず、実際の汚れに合わせて管理しましょう。

グリストラップのサイズに関するよくある質問

小さな店舗なら小型サイズで問題ありませんか?

店舗面積だけでは判断できません。

小規模店舗でも、油脂の多い料理を提供する場合や、短時間に大量の排水が流れる場合は、小型製品では不足する可能性があります。

客席数だけでサイズを決められますか?

客席数だけでは決められません。

業態、店舗面積、食数、営業時間、厨房機器、使用水量、油脂量なども確認します。

現在と同じ外形寸法なら交換できますか?

外形寸法が同じでも、配管位置、実容量、許容流入流量、阻集性能が異なる場合があります。

メーカーの仕様表や納入図を比較してください。

床置き型は何人程度の店舗に向いていますか?

利用人数だけでは判断できません。

床置き型には処理量の少ない厨房向け製品もあるため、排水量と許容流入流量を比較する必要があります。

大きいグリストラップなら清掃回数を減らせますか?

容量が大きくても、食品残渣や浮上油脂を放置すると悪臭や害虫の原因になります。

日常的な清掃は必要です。

自分でサイズを計算できますか?

メーカーの早見表や算定アプリで目安を確認できる場合があります。

ただし、配管条件、設置基準、実際の排水量なども関係するため、最終選定は設備業者やメーカーへ確認しましょう。

油脂汚れの清掃を補助する方法

店舗に合ったサイズのグリストラップを使用していても、バスケットの食品残渣、水面の油脂、底部の汚泥を定期的に回収する必要があります。

これらを回収したあと、槽の壁面や仕切り板に付着した油脂汚れには、ブラシや用途に合った業務用洗浄剤を使用する方法があります。

「グリスとれ~る」は、アルカリによる石鹸水化作用を利用し、グリストラップに付着した油脂汚れの除去をサポートする業務用洗浄剤です。

食品残渣、浮上油脂、底部の汚泥を回収したうえで、槽内や部品に付着した油脂汚れを清掃する際の選択肢として使用できます。

商品情報や使用方法は、以下の公式販売ページで確認できます。

まとめ

グリストラップのサイズを選ぶときは、本体の幅・奥行き・高さだけでなく、実容量、許容流入流量、標準阻集グリース量、たい積残さ量を確認する必要があります。

必要なサイズを判断する主な条件は次のとおりです。

  • 店舗の業態
  • 店舗全面積
  • 利用人数
  • 1日あたりの食数
  • 営業時間と回転数
  • 厨房の使用水量
  • 使用する油脂の量
  • 厨房機器の排水量

店舗規模が小さくても、油脂量や瞬間排水量が多ければ、小型製品では性能が不足する可能性があります。

また、本体が設置場所へ収まっても、ふたやバスケットを取り出せなければ適切に清掃できません。

本体寸法に加えて、配管位置、床下の深さ、ふたの開閉スペース、清掃用具を使用する作業空間も確認しましょう。

居抜き物件への入居、業態変更、客席増加、厨房機器の追加を行う場合は、既存グリストラップのサイズと性能を再確認することが重要です。

最終的な機種選定は、店舗所在地の下水道担当部署、建物管理会社、指定排水設備工事事業者、メーカーなどへ相談しましょう。

参考・引用元